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4年ぶりの年金額引下げ、年金額計算の仕組みを解説

4年ぶりの年金額引下げ、年金額計算の仕組みを解説

 新年度は様々な対応に追われる方が多いと思います。先日、こんなニュースを目にしました。

4月から変わるもの…国民年金・厚生年金、介護保険料、消費税込みの「総額表示」

介護保険料の引上げは「高齢化に伴い」ということで理解出来ますが、「年金の引下げ」は中々ショッキングな字面だと思います。一見すると来年も引下げが続くの?引下げ幅は増大する?と不安になります。今回は年金額計算の仕組みを解説いたします。少しでも、年金について安心してもらえると幸いです。

  • ポイント1 正確に言うと 引き下げられたのは○○率

 まず年金は、国民年金と厚生年金の2種類があります。社会保険に加入している方は給与明細から 厚生年金保険料 が天引きされているはずですが、それは将来天引きされた額に応じて 老齢厚生年金 が受給されることとなります。

 社会保険に入っていない方についても、国民年金を10年(120月)納付・申請免除などの期間があると 老齢基礎年金 が受給できます。こちらは納付月に応じた定額で、40年(480月)の満額で780,900円/年となります。社会保険に加入している方は厚生年金保険料を納めているので、それとは別に国民年金保険料を納める必要はありませんので安心してください。

 そしてそれぞれの年金額計算式は次のようになっています。

  • 国民年金(老齢基礎年金) 780,900円×改定率
  • 厚生年金(老齢厚生年金) (平均標準報酬月額×生年月日に応じた率×2003年(平成15年)3月までの社会保険加入月数+平均標準報酬額×生年月日に応じた率×2003年(平成15年)3月以後の社会保険加入月数)

 さて、上記のニュース映像を見ると、国民年金は月々66円引下げ、厚生年金は月々228円引下げとなっています。

 資料元は厚生労働省のこちらのプレスリリースだと思います。(厚生年金は先に述べたように天引きされた額によって違います。228円引下げは専業主婦・夫と社会保険加入の配偶者が平均年収5,268,000円で40年勤続した場合を想定しています。)

 実は、国民年金(老齢基礎年金)も厚生年金(老齢厚生年金)も計算式や年金額自体が変わった訳ではなく、 改定率 が変わりました。

 改定率は、賃金変動や物価変動に応じて年金額を自動的に連動させるための率です。ざっくり言うと、 物価や賃金が上昇すれば年金額も上がり、物価や賃金が下がれば年金額も下がります。 今回の改定率は1.001から1.000へと0.1%引き下げられました。これは 名目手取り賃金変動率が0.1%減少したため です。

 老齢厚生年金では、平均標準報酬月額・平均標準報酬額の計算中に 再評価率 という率を用いるのですが、再評価率の算出にも改定率と同じように賃金変動が考慮されています。そのため、賃金が0.1%減少した影響によって再評価率も見直され、老齢厚生年金の引下げとなりました。

  • ポイント2 2008年(平成20年)から見て最も低い改定率は0.982

 2008年(平成20年)度から2021年(令和3年)までの間で最も低い改定率は2012年(平成24年)と2013年(平成25年)度適用の0.982でした。2014年(平成26年)に年金制度の大規模な改訂以降は、 改定率は0.998~1.001の範囲内で推移 しています。

 断言は出来ませんが、現在の年金額計算の仕組みを考えると、改定率が一年で大きく(具体的には0.5%以上)変わる可能性は少ないように思います。

 ニュースタイトルだけ見ると不安が煽られますが、実際の年金額計算の仕組みは 現役世代の負担が大きく・急なものにならないように ということと、 受給世代が生活していける ことを考えて作られています。投げやりにならず、制度が長期的に運用されることを信じて納付したいものです……。

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